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【警鐘】2026年 不動産を活用した相続税対策が大きなターニングポイントを迎えます!!

公開日: 2026.01.26 更新日: 2026.01.26
相続Point

2025年12月19日に公表された「令和8年度(2026年度)税制改正大綱」は、不動産を活用した相続税対策の歴史において、「タワマン節税」の規制(2024年)に続く、あるいはそれ以上のインパクトを持つターニングポイントになると言えます。

キャッシュリッチないわゆる資産家層が「時価と評価額の乖離」を狙って行ってきた資産圧縮スキームに、強力なブレーキがかかる内容です。不動産売買・仲介のプロとしての視点から、この改正のポイントとその影響を論評します。


1. 改正の核心:狙い撃ちされた「2つの商品」

今回の改正でメスが入ったのは、主に以下の2点です。

① 貸付用不動産(アパート・一棟マンション等)の「5年縛り」

  • 改正内容: 相続・贈与の直前(課税時期前5年以内)に取得した貸付用不動産は、従来の路線価評価ではなく、「取得価額(時価)の80%」で評価されます。

  • 論評: これまでは、1億円の現金でアパートを建てれば、翌日には評価額が3,000万〜4,000万円程度に圧縮されることも珍しくありませんでした。今回の改正は、これを「5年間の実質的な保有期間」を求め、駆け込み的な節税を無効化するものです。

② 不動産小口化商品の「時価評価への完全移行」

  • 改正内容: 取得時期を問わず、原則として「通常の取引価額(時価)」で評価されます。

  • 論評: 今回の改正で最も厳しい扱いを受けたのがこの分野です。一棟不動産と異なり、5年経っても評価額が路線価ベースに戻りません。 事業者が提示する処分価格や売買実例が評価基準となるため、節税メリットはほぼ消失すると考えられます。


2. なぜ「今」この規制が導入されるのか?

背景には、税務当局の「公平性」への強い意志と「総則6項」の限界があります。

  • 「総則6項」のルール化: これまで極端な節税は、国税庁の伝家の宝刀である「総則6項」を使って個別に否認してきましたが、これでは納税者の予見可能性(事前に判断できること)が低すぎると批判されてきました。今回の改正は、あらかじめ「ルール」として明文化することで、網を広げた形です。※「総則6項」とは?・・相続財産を評価するに当たってのルールを定めた法令解釈通達の総則に置かれた規定です。 6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
    出典:国税庁「財産評価基本通達第1章 総則6」

  • 不動産価格の高騰: 建築費や都心地価の上昇により、実勢価格と評価額の乖離が極限まで広がっていました。これを放置することは「現金を不動産に替えた者だけが得をする」不公平な状態を助長するため、是正に踏み切ったと言えます。


3. 市場へのインパクトと「富裕層の次の一手」

この改正により、2026年以降の不動産市場には以下の動きが予想されます。

売却圧力と「駆け込み」の混在

  • 小口化商品の売却増: 節税メリットがなくなることで、既存の保有者が令和9年(2027年)1月の適用開始前に売却を急ぐ可能性があります。

  • 令和8年(2026年)中の贈与ラッシュ: 適用開始前の「滑り込み」として、現行評価が使える令和8年中に生前贈与を行う動きが加速するでしょう。

「量」より「質」と「期間」の投資へ

今後は「相続直前に多額の借金をして不動産を買う」といった手法は通用しなくなります。

  • 「5年超」を見越した早期対策: 5年経てば路線価評価に戻る(貸付用不動産の場合)ため、より若いうちからの、長期的な視点での不動産保有が前提となります。

  • 収益性の重視: 節税のみを目的にした物件ではなく、純粋にキャッシュフローを生む「投資としての質」が高い物件が、より選別されるようになります。


4. 結論:節税頼みの不動産投資は「終焉」へ

今回の見直しは、不動産を「税金を減らすための道具」として扱ってきた資産家への、国からの強い警告です。

今後は、「節税はあくまで副次的な効果」と割り切り、物件の収益性、流動性、そしてご家族の承継プランをトータルで設計できる「本物の知識」が、売主・買主双方に求められます。