コラム
私たちの知らないところで進む「土地のグローバル化」
外国人による不動産購入の現状と影響
最近、あなたの住む街で、空き家だったはずの家が突然、外国の言葉を話す誰かに買われ、派手にリノベーションされていく光景を目にしませんか?
あるいは、新築マンションのモデルルームに行ったら、販売担当者から『半分近くが海外投資家に買われてしまった』と聞かされ、驚いた経験はありませんか?
この現象は、単なる『海外の景気の良い話』ではありません。それは、私たちがこれからマイホームを買えるかどうか、私たちが住む街の自治会の機能が維持できるかどうか、という身近な問題に直結しています。
1.なぜ日本が人気なのか
円安による「バーゲンセール」
例えば、円高時代に1ドル=100円だったのが、今は1ドル=150円だとします。海外の富裕層から見れば、1億円の日本の家は、以前なら100万ドルでしたが、今は約66万ドルで買える。これは、家が34%OFFのバーゲンセールになっているのと同じことです。
「安定性」による価値
世界には、政府の一言で土地が没収されたり、急に法律が変わって資産価値がゼロになったりする国が多くあります。そんな中、「日本の土地は永久に自分のものになる」という当たり前の事実が、世界の富裕層にとっては「最強の安心感」なのです。
2.影響と課題
マイホームの夢
競争相手が、私たちの給料やローン審査とは関係のない、潤沢な外貨を持つ投資家になったとき、一体何が起きるでしょうか? それは、『私たち一般の勤労世帯が、都市部で子育てをするためのマンションに手が届かなくなる』という、切実な問題が起きます。
コミュニティ機能の低下
もし、隣の家を年に数週間しか来ない海外の所有者が買ってしまったら? その家はゴミ出しのルールを守るでしょうか? 地域の祭りの手伝いに来るでしょうか? 彼らは決して悪意があるわけではありませんが、『誰も管理しない家』が増えることは、地域社会の崩壊に繋がる可能性があります。
安全保障上の懸念
自衛隊基地や国境離島周辺の土地取得など、「重要土地等調査法」の議論の背景にある懸念事項があります。
3.「未来への問いかけ」
日本の土地は今、世界から注目されています。これは経済のチャンスでもありますが、同時に、この土地の未来を誰に委ねるのか、という重い問いを私たちに突きつけています。
「不動産は自由に売買できる」という原則を守りつつ、『土地を持つ人の責任』をどう明確にするか。これは、政府の議論だけでなく、私たち一人一人が、住んでいる街の『新しい隣人』について考えることから始まります。
あなたの街の空き家は、これから誰の手に渡るでしょうか? そして、その未来をあなたは傍観者として見守るだけで良いのでしょうか?
4.「傍観者」から「当事者」へ変わるためにできること
① 「現状の把握」 と 「知識の武装」
まず、自分の住む地域で何が起きているのかを知り、無関心な状態から脱却することが最初のステップです。
- 地域の情報をチェックする
- 自治体の広報や空き家バンクの情報を定期的に確認し、地域内の不動産がどのように動いているかを知ります。
- 地域の不動産価格の動向や、外国人購入者が多いエリアの報道に関心を持つ。
- 外国人の不動産所有に関する制度を学ぶ
- 外国人が日本の不動産を買うこと自体は合法であること、しかし外為法に基づく報告義務があることなど、基本的なルールを理解する。
- 近年施行された重要土地等調査法など、安全保障に関わる規制の議論について調べてみる。
② 「地域社会への参画」と「声の発信」
地域の一員として、不動産のあり方や管理について積極的に声を上げ、仕組み作りに関わります。
- 自治会・町内会で議論する
- 外国人オーナーや不在地主が保有する物件の管理責任について、自治会内で問題提起をする。
- 所有者不明の空き家に対する自治体への管理・活用を求める要望を積極的に行う。
- 地域コミュニティとの交流を促す
- もし近隣に外国人が住み始めた場合、偏見を持たずに地域コミュニティのルールを共有し、協力関係を築く努力をする。
- 多言語での案内や情報共有を試みるなど、外国人所有者を排除するのではなく、地域の一員として機能してもらうための工夫を模索する。
③ 「制度・政治への関与」
より大きな枠組み、すなわち国の制度や規制のあり方に対して、国民としての意見を表明します。
- 政治家や自治体へ意見を届ける
- 外国人オーナーが管理を怠った際の罰則強化や、所有者情報の公開を義務付ける制度の必要性などについて、国会議員や地方自治体の首長・議員に意見書を送る。
- 特に「重要土地」とされていない地域でも、生活圏の土地のあり方について懸念を示す。
- メディア SNSで議論に参加する
- コラムやニュース記事に対するコメントや、SNSでの発信を通して、この問題の議論を風化させないよう関与する。


